お前等に僕の何が解るんだ

僕の趣味趣向
性癖を話したトコロで
異端の烙印を押すに決まっている



だから適当に話していく

面倒だからこれ以上踏み込んでくれるな



理解されたいわけでもないし
理解してほしいわけじゃない



異性と出掛ける＝恋愛



そんな普通の方程式を突き付けられても

僕には理解出来ない

理解する気もない



世の中には常識の通じない者がいる





恐らく真実を話した所で

理解してもらえないだろうな──

人は平気で人を裏切る



だから僕は一見人を信じてると言われても

結局 誰も信じていないんだ



否、ホントはどうでもいいんだ

誰がどうなってもきっとどうでもいい



時が経てばいつしか人は忘れてしまう

記憶は風化して無くなる





そうして誰かの記憶から僕は消える

違う違う

君の言葉はそれじゃない

違う違う

君の言葉はそれじゃない



地に両膝を付いてだなんて懇願しろだなんて

そんな事は言わないけれども



無意味な時間を返してくれる？

君が代わりに僕の仕事を引き受けてくれるのなら構わないけれども

違うだろ？



出来ないだろ　出来るわけが無い



ねぇ、何か勘違いをしていない？



紅い印を黒に変えてまで

無意味な時間を過ごさせてくれた事に

君は全く気づいていないのか？



約束の時間からどのくらい経ったっけ？

笑うしかないね

君のおかげで僕の予定は大狂いさ



このままでは気まで狂ってしまいそうだよ














嗚呼　もう狂ってるかもね

声だけというのは便利だ

抑揚を変えてしまえるから

心でどんな事を思っても

表情を見せなくても

誤摩化せるから




言葉というのは便利だ

相手の感情一つで捉え方が違うから

心もどんな事を思っても

表情を見せなくても

声を出さなくても






完全に誤摩化せるから





心の奥の奥の

真実の言霊を曝け出したら一体どうなるのだろうか










きっとこの均衡は完全に崩れさってしまうのだろう

行って帰って

また

行って帰って

また

行って帰って

また

また

また



まだ──？



代わり映えのしない毎日

代わり映えのしない景色



悪意が囁いた



ほんの少しのスリルと

ほんの少しの快感を求めて



偽善の仮面にヒビが入る





目を閉じて掌で抑えて

笑いそうになる唇を噛み締めた





嗚呼 狂うまであと少し